地底に堕ちたロンドンを舞台に、地下に広がる広大な海を1人の船長として冒険する。奇妙な島や人々、恐怖、怪物、狂気が渦巻くこのUnderZeeで様々な選択をしながら生き抜いていかなければならない。
Sunless Sea
本作は自身の蒸気船を持ち、燃料、食料、船員を管理しながら各地を冒険、様々な目標を達成していくのが本作の特徴でスチームパンクとクトルゥフ神話を混ぜたような世界観です。
クトゥルフ神話をリスペクトした世界観は独特で、時々感じる様々な目に見えない強大な力を持つ神々や奇妙な島々、それらすべてが好奇心を刺激し、いつしか更なる冒険や物語を求めるようになります。
とにかく不気味で、じわじわと恐怖を感じさせてくる展開は素晴らしいです。
クトルゥフ神話ではSAN値というものがあります。Sunless SeaでもSUN値をリスペクトした恐怖度というものがあり、これの数値によって様々イベントが発生します。これらがより恐怖を煽り、焦燥感を掻き立てます。
良いところ
ゲームブックを上手く一般的ゲームに落とし込んだ良作
もともとはFollen Londonというブラウザゲームでそれから派生した作品です。
Sunless SeaをやったあとFollen Londonもやってみましたが文章選択で物語が進んでいいくスタイル様々な場面で選択肢を迫られ、ステータスの数値によって、選択肢が成功する難易度が変化したりするなど、ゲームブック的な要素がかなり強いです。
Sunless SeaではFollen Londonからゲームブック要素を引き継ぎ、さらにオープンワールド要素を上手く調和させました。これにより、各島を舞台に冒険しストーリーを進める形になったことで移動という概念が生まれ、より没入感が増しました。
素晴らしい有志日本語翻訳
まずこれだけの量を翻訳してくださった有志様には、最大限の感謝と敬意を表したい。
翻訳のセンスも素晴らしく、Sunless Seaの難しい世界観を崩すことなく、とても綺麗な翻訳です。世界観やこのゲームに興味があるけどこの量の英語は無理だなと諦めているのならそれは杞憂です。すぐに蒸気船に飛び乗り、奇妙な島々を冒険しましょう。
悪いところ
船が遅すぎる。
一週目は雰囲気が出ていてそこまで気になりませんが、二週目、三週目とプレイしていると気になります。
二週目以降はお金を引き継いで最初に一番高いエンジンを買っていたの特にストレスではないのですが、引き継げる遺産はお金の他に武器や船員など一つ引き継げるのですが、船の遅さのために引き継ぐのがほぼお金一択になってしまうのは残念なところ。
情報が少なすぎる
これについてはゲームと関係がないので悪いところと言ってしまうのは違うと思いますが、日本語の情報がほとんどないので海外wikiを見ながらプレイしていました。序盤での金策の方法が分からなくてかなりつららかったことや、ストーリーで欲求されるアイテムがどこで手に入るのか分かりにくいことなど。序盤でやる気がなくなって辞めそうになる要素が多いです。
ただそこで辞めてしまうのは惜しいぐらい面白いゲームですので、初心者ガイドやアイテムの入手場所一覧など、出来るだけストレスをなくプレイできるようなガイドを当サイト内に書いておきました。
総評
このゲームのジャンルとしてアドベンチャーゲームです。私は購入当初ローグライク、ローグライトゲームを探していてこのゲームをプレイしましたが、ローグライクゲームを期待して買うと肩透かしを食らうと思います。
ローグライク的要素としては燃料管理がシビアなことや船長が死んだら次の新しい船長に引き継ぐことが出来るぐらいで、マップ自体も完全ランダムではないため、ローグライク要素はどちらかというとゲームの世界観を引き出す要素の一部として扱われている程度ですので、自分の様に探検型ローグライクを求めて手を出そうと思う人は「Curious Expedition」の方が近いですね。
本作はアドベンチャーゲームとしてストーリーが独特で面白く、とにかく引き込まれます。各島々が個性的で次はどんな島に出会うのか、次にどんなストーリーが待っているのかまるで小説をプレイしているような感覚でどんどん先に進めていきました。
自分はこの作品をきっかけにコズミックホラーというジャンルにハマり、クトゥルフの呼び声などの作品を見るようになりました。そのため、もともとクトゥルフ神話が好きでこのゲームを知った人ならまず間違いなく楽しめる作品です。